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はじめてのとき・・ 郁の曰くスポーツブラをTシャツを脱がせるように 外したのが初めての始まりだった。 スポーツブラを取ると 小さくもきれいな形の乳房が現れた。 早速堂上は乳房に手を当てた。 「いぁ・・あ」 郁は後ろむきに堂上の足のすわり なされるがまま声を上げた。 「ああ・・んっ」 郁が自分の声に気付いて口で抑えた。 堂上はそれを見過ごさなかった。 郁の手をとり後ろでタオルで縛った。 「こういう束縛したくなかったんだが・・ 郁が声を上げるなら仕方ないだろ。」 堂上はタオルを結ぶとまた乳房を揉みほぐし始めた。 「どう・・じょう・・きょ・・・」 郁が言いかけたとき 堂上の手は浴衣の下の下着に触れていた。 郁の体がビクンとはねる。 「ぅぁ・・・きょう・・かんっ!」 「なんだ」 「変な感触すっ・・・る」 堂上はおかまいなく下着の上から恥丘をなでた 「ああっあ!どうじょぉ教官ッ!!」 すばやく下着をとり 恥部が明らかになる。 「はっ恥ずかしい!」 「かわいいぞ・」 堂上は蜜壺に指を一本入れた 「ああっ!ふぁ・・ん」 郁が大きく跳ねる。 入れた指を間接でまげる 膣壁にあたるとまた郁は大きな反応をした。 郁がはぁはぁ息を立てる。 「郁っ!いれるぞ・・」 郁は何が起こったかわからないような顔をした。 堂上は郁の手を外し 自分にむかせた そして堂上のアレが郁の蜜壺に埋められる 「あああああああっやっ!ああん!」 郁が大きく体をそらす。 堂上は一度静めたアレを 大きく前後に動かした。 「やぁっやん!はぁ・・・どう・・・じょう・・きょ・」 郁も一緒になって揺れる。 「はぁ・・はぁ・・」 郁が痛みにも慣れてきたと 堂上も感じたとき 郁が精一杯声を出した。 「ムリ・くるしい・・・はぁ・・はぁ・・もうだめ。」 「痛いのか・・・?」 「・・・・」 郁は質問に答えない。 そうではないのだろう・ 「痛くないならやめてなんかやるか。 こえ出したくないならなんかかんどけ」 堂上はそう郁に指示を出した。 !? 肩に激痛が走る。 そうしてあとから膝詰めで説教になったのは いうまでもない・
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図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 1スレ 7 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 1スレ 17-19 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 1スレ 24 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 1スレ 37-39 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 1スレ 43 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 1スレ 60-75 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 1スレ 80-82 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 1スレ 101-104 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 1スレ 127-129 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 1スレ 140-146 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 1スレ 170-183 その1 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 1スレ 170-183 その2 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 1スレ 189-190 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 1スレ 200-205 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 1スレ 212-213 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 1スレ 217-218 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 1スレ 237-241 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 1スレ 245,249,251,252 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 1スレ 257 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 1スレ 290(287-288逆Ver) 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 1スレ 315 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 1スレ 339-347(37-39の続き) 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 1スレ 369,371-372 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 1スレ 388-391その1 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 1スレ 388-391その2 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 1スレ 416-419,424-429,433-440 その1 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 1スレ 416-419,424-429,433-440 その2 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 1スレ 416-419,424-429,433-440 その3 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 1スレ 584-590 その1 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 1スレ 584-590 その2 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 1スレ 621-622 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 1スレ 645 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 1スレ 699-700 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 1スレ 749-750 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 1スレ 849-850 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 1スレ 866-867 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 1スレ 863 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 1スレ 877-881 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 1スレ 907 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 2スレ 85-86 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原+手塚+柴崎 2スレ 141 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 2スレ 303 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 2スレ 378-384 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原 2スレ 479-484 図書館戦争シリーズ 小毬後日談(堂郁) 2スレ 572 558-571、539-550の後日談 図書館戦争シリーズ 堂上×笠原(+柴崎) 2スレ 648 図書館戦争シリーズ 笠原+柴崎 2スレ 653-654
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1スレ目 416-419,424-429,433-440 その1 「あら、だーれも残ってないの?」 当麻の領事館駆け込みから数ヶ月。 リハビリは一応終えて特殊部隊に完全復帰した堂上だが、哨戒などとっさの行動が必要になる防衛業務ではもしもを考えシフトを外してある。 堂上班始め特殊部隊隊員が全員出払っていたため、一人残されていた堂上が折口に茶を出した。 「ちょうど良かったわ。堂上君に話があったの」 その微笑みは異性を簡単に虜にできる程に艶やかだったが、あいにく堂上は長年の付き合いで折口の本性を知っている。 この人はこう見えて中身は玄田と同等だ。 堂上の内心を知ってか知らずか折口は軽く爆弾を投げた。 「郁ちゃんとデートして来てくれない?」 「は?」 堂上は思わず素になって折口に問い返した。 その折口はいつものごとく隊長室の応接ソファにだらしなく腰を下ろしていたが、軽く座り直す。 「そんなすっとんきょうな声出さなくてもいいんじゃない、郁ちゃんと食事に行ってもらうくらい」 サラリと言い、このやり取りをニヤニヤしながら見ている玄田に視線を送る。 してやったり。の意図があからさまにわかった堂上は軽く目眩を感じた。 この人らはいい年して。 「冗談だったら失礼させてもらいますよ」 普段の仏頂面に加えて苦虫を10匹ほど噛み潰してから、堂上は隊長室のドアノブに手を伸ばした。 「まぁ待て話は最後まで聞くもんだぞ」 最後まで聞く価値があるのか?とは思ったものの玄田の命令口調に押されてノブを握る手が止まる。 「ごめんねえ。堂上君真面目だからついからかってみたくなるのよ」 「おい、折口、いい加減本題に入れ。後でこいつの八つ当たり受けんのは、俺しかいないんだからな」 「はいはい。実はね、当麻先生があの事件のお礼に二人を食事に招待したいっておっしゃってるのよ」 「当麻先生からは十分すぎるお礼をいただきましたが」 当麻が無事に自宅に戻ってから、表向きは図書費の寄付という形で図書隊に多額の現金が贈られた。 「それは図書隊へのお礼でしょ。二人には特に世話になったから、個人的にお礼をしたいそうよ。」 「ですが、当麻先生からはお見舞いもいただいてますし…」 渋る堂上相手に苦戦ぎみの折口に、すかさず玄田が援護を送る。 「奥様もお前らに是非とも礼をしたいそうだ、頑なに断る訳にもいかんだろう」 どうやら最初から断る自由はなかったようだ。 実のところ、あの事件の後で当麻と語る機会などなかったので、「郁とセットで招待」さえなければ、またとない誘いをこうも頑なに断りはしない。 いや、郁と食事に行くことが嫌な訳はない。ただ「二人で食事に」の誘いにホイホイ乗るのが気恥ずかしいだけなのである。 堂上が黙ってしまったのを折口は了承と受け取ったようだ。 会食の日時と場所については当麻から堂上の携帯に直接入る旨を伝えた。 去り際に折口は再度笑みをうかべて、言った。 「そんなに緊張しなくてもいいじゃない。郁ちゃんと二人で食事に行くなんて別に『珍しいこと』じゃないんでしょ?」 爆弾を投げっぱなしで折口が出て行ったため、結果完全にやさぐれた堂上の八つ当たりは玄田が一人受けるハメになった。 『当麻先生が事件のお礼に食事に招待して下さるそうだ。日時が決まったら連絡する。都合の悪い日はないか?』 夕食後、届いたメールに郁は首をかしげた。堂上とはつい先ほどまで一緒に特殊部隊事務所で勤務していたはずなのだが。 「なんでさっき聞かなかったのかな。それに都合って言っても、堂上教官あたしのスケジュール把握してるはずだよね。つーか、なんでメールなんだろ?」 恋人同士になってから半年、堂上からの連絡はほとんどが電話だった。 と言うより、お互い寮生活、加えて勤務のシフトが全く同じという環境では、携帯で連絡を取ることすら珍しい。 勤務中は極力私的な会話をしないようにしているが、(堂上はともかく免疫のない郁は下手に恋人モードに入ってしまうと、顔色を簡単に戻せない)いつでも直接話してしまう方が手っ取り早い。 メールでわざわざ連絡する理由か・・・この話誰にも聞かれたくないのかな。 ならば自分もメールで返事をと、コタツからもぞもぞ這い出て座り直す。 『特に都合悪い日はありません。この話内緒の話なんですか? 柴崎にも話さない方がいいですか?』 ちょうど送信ボタンを押した瞬間に 「ううーっ、寒かったぁ」 所用で外に出ていた柴崎が震えながらコタツに潜り込んできた 柴崎にも話せないかもしれないメールのやり取りだ。 柴崎が部屋に戻った瞬間肩がビクリと跳ねてしまった。 当然それを見逃すほど柴崎は甘くない。 「ふうん、そんなにやましいメールのやり取りしてんの?」 「な、やましいって!?そんなんじゃないっ!」 焦っている郁は柴崎のからかい口調に気がつかない。 「じゃ、何?人が部屋に入ってきただけであんな驚き方するメールって」 「それは…」 郁が言葉を選ぼうとしたとたん通常とは異なるメール着信音が響く。 うわぁ、なんであたしマナーモードにしてないのよー。 それになんでこのタイミングで返事くれるかな。 「堂上教官でしょ。メール見ないの?」 柴崎には堂上専用の着信音までバレバレになっている。 渋々郁は携帯を開いた。 『当麻先生が個人的にお誘いしてる話だから隊長と班員以外にはちょっとな。柴崎なら言わなくてもそのうち情報を仕入れてくるだろ』 「焦って損したぁ」 郁はコタツにぐったりと倒れ込んだ。 「で、何なの?」 「んとね、事件のお礼に当麻先生が食事に招待してくれるみたい。でも個人的なお誘いだから班とあんた以外の他の隊員には言うなって、それは分かるけど、なんでメールなんだろ」 「そうねえ、向こうは個室なのにね」 さすがの柴崎でも、昼間折口に散々引っ掻き回された堂上が、今日のところはバツが悪くて、ことこの件に関しては郁と直接話すのを避けておきたいと思っているとは、推測出来なかった。 「堂上教官」 当麻との会食の打ち合わせが完了した次の日、書庫勤務中の堂上の頭上から声がかかった。 見上げると柴崎が踊り場の手すりに寄りかかって体を乗り出していた。 柴崎はよくこの階段の上から声をかけてくる。 堂上は、猫は優位性を誇示するため高い位置に立つと聞いたことを思い出した。 前に手塚が笠原のことを犬に例えてたが、こいつは猫だな。 そう言えばあいつももたまに柴崎がチェシャ猫に見えるとか言ってたよな。 堂上の表情がフッとほころびかけた。 「聞いてますよ。当麻先生との会食の話。笠原、悩んでましたよ。何着てけばいいんだろって」 「だろうな。アドバイスしてやってくれ」 「もちろん。当日まで笠原には箝口令しいておきますから、楽しみにしておいてくださいね」 例のチカン事件の時よりもグレードアップさせますから。 ささやかれて、ついあの時の郁のミニスカートを思い出してしまい、堂上は自己嫌悪に陥る。 勤務中に何考えてんだ俺は。 「お膳立てはしておくんでぇ、あとは堂上教官、よろしくお願いしますね」 何をよろしくだ!? 言い返すこともできずにただただ堂上は口をパクパクさせただけだった。 会食の1週間前、郁は柴崎に付き合ってもらって買い物にでかけた。 妙に張り切っている柴崎に引きずり回され、やっと納得のゆく品物の購入にこぎつけた頃、辺りには夕闇が迫りつつあった。 帰りまでに一息入れようとカフェに入った。 「笠原、お茶飲んだらもう一軒行くわよ」 柴崎はまだ臨戦体制である。 郁は買い物の袋を数えながら当日のコーディネートをイメージしてみた。 「まだなんかあったっけ?」 「おおありよ」 柴崎は郁の耳元に口を寄せてよく知られた下着販売店の名を告げた。 「ちょ、まっ」 あんた何考えてんのよ?!と続けられずに郁はアウアウとするばかり。 「付き合ってる男女が休日前にホテルで食事しておいて、まっすぐ帰ってくるなんてことあるの?」 会食の日付が、ちょうど堂上班の公休日前日だったことには郁も気づいていた。 いや、気になっていた。 「食事って・・・今回は当麻先生とご一緒だし」 「食事はね。その後まで一緒じゃないでしょ」 「でも、堂上教官だって、そんなこと何にも…」 「免疫ないあんたにそんなこと言っちゃったら、当日まで正気保てないわ」 柴崎の指摘通り、この一連の流れだけで郁の顔は真っ赤に染まっていた。 自覚して郁はうなだれた。 「だいたいこの前も2人でドライブ行って、なんで門限に余裕で間に合う時間に帰ってくんのよ?あんたはともかく、堂上教官がこんなヘタれだったなんて思い違いもいいとこ」 「あのぉ、意味わかんないけど、柴崎、怒ってる?」 「どっちかって言うと楽しんでるけど?」 それはつまり自分達がウオッチ対象になってるということか。 「そろそろ展開変わってもらえたら、観察者としては盛り上がるんだけど」 「ぎゃーっ!バカっ。妄想もいい加減にしてよ」 ニヤニヤとしなだれかかってきた柴崎を郁は強引に押し返した。
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2スレ目 378-384 予定よりも随分遅くなっていたが、基地に近づくに連れてどちらともなく自然と歩みが遅くなった。 ついさっきまで今日観た映画の話や子供の頃の話で盛り上がっていたのに、 いつの間にか当たり障りのない会話に流れて途切れがちになり、結局今は無言だ。 喧嘩をした訳でも気まずい訳でもなく、名残惜しさに口をつぐんでしまうだけだ。 恋人から上官と部下へ。その切り替えのためにいつの頃からかこんな時間が必要になっていた。 すっぱりと切り替えが出来るほど浅い付き合いではないし、かといって安定した関係でもない。 基地に近づくにつれ、色々な感情が混ざり合って、かえって無表情になってしまう。 上官と部下としては阿吽の呼吸でも、恋人としてはまだ互いにおっかなびっくりだ。 寮とはいえ、隊内のヒエラルキーはそのまま寮のヒエラルキーに直結している。 正月明け早々の泥酔者居座り事件をきっかけに「プライベートで好きな女とイチャついて何が悪い!」と居直りはしたが、 結局のところ寮は基地内だ。きっぱりとプライベートであるとは断言できない。 だから郁を呼び出す時は出来る限り素っ気なく呼び出し、外出した時も寮の玄関の灯りが見える場所まで戻ったら、堂上は郁の手を離す。 公私混同をしないために堂上が密かに決めたルールだ。郁も言外に理解してそれに従っていた。 だがそれは建前の話。本音を言えば恋人としての態度をこれ見よがしに見せ付けて、 近頃になって郁に熱い視線を送り始めた不埒な輩どもをまとめて牽制したいところだ。 別に隠しているつもりではなかったが、堂上復帰の際に互いに自然と公私のけじめをつけたことで 二人が恋人同士になった事に気付かない者も少なくなかった。特に噂話に疎い特殊部隊外に所属するの男子隊員は。 堂上と付き合い始めて元来の愛らしさを覗かせるようになった郁は素直に可愛かったが、余計な視線まで集めてしまったのは苦い。 おかげで苛立つ事も増えた訳だが、自分が決めた事に文句を言っても仕方がない。仕方はないが、腹立たしい。 考えあぐねた末の妥協策として、不埒な輩は片っ端から絞め落とすことに決めた。 気さくな警衛係から「相変わらずお熱いねー」と冷やかされながら、寮までの道を出来るだけゆっくりと歩いた。 ほどなくして木々の間から寮の玄関が見え隠れする。腕時計を見ると予定よりも遅くはなったが、門限にはまだ余裕があった。 そういや洗濯するもんがあったなと所帯じみたことを頭の隅で考えながら、甘い余韻を断ち切ろうと無意識に姿勢を正した。 だがいつもなら手を離すタイミングに来て不意に郁が立ち止まった。手を強く握られ、堂上は郁を振り返る。 「郁?」 郁は無意識に手を離すことを拒絶し、その場にぼんやりと立ちすくんでいた。 不可解な行動に戸惑ったが、すぐに郁が自分の唇を郁が注視していること気が付いた。 あ、と言葉に出しかけて止めた。その視線の意味に気が付かないほど鈍くはない。 思わず手を握り返すと、郁が我に返った。焦点を取り戻した視線がぶつかると、郁は途端に顔を赤くして俯いた。 野放図を絵に描いたような普段の郁とは比べようもないほどの初々しさだ。その仕草に堂上の息がぐっと詰まる。 この、バカ!もう半年も経つんだぞ。ガキじゃあるまいし、こっちが恥ずかしいわ!頬なんぞ染めやがって! こっちがどれだけ色んな意味で我慢しようとしてるか判ってるのか?!少しは男の生態を理解しろ! しかし心の中で毒づく堂上の顔も熱を帯びていて、耳まで真っ赤になっていた。 期待と胸を突くような甘酸っぱい想いに歯噛みする。ガキか、俺は。 言いたいことは色々あったが、あえて沈黙を貫いた。そのまましばしの無言。結論を郁に委ねたのはせめてもの意趣返しだ。 照れ隠しの仏頂面で身構えた堂上を前に、ようやく郁が遠慮がちにあの、と口を開いた。 「ちょっとだけ…お散歩とかしませんか?」 俯いたまま上目遣いで堂上を覗う。堂上よりも背の高い郁が無意識に少しでも女の子らしく振舞おうとする時の癖だ。 今更だ、バカ。と思う反面、その仕草や自分を気遣う健気さが愛しいと思う自分はすでに病気だ。 だがそれを悟らせるのも癪なので、素っ気なく「少しだぞ」と言い置いて、寮の灯りに背を向けた。 外灯と外灯の間に射す深い夜の谷間、植え込みの更に奥の建物の影に堂上は郁を引き込んだ。 壁に背中を押し付けられた郁の手からバッグがすとんと落ち、潤んだ瞳で堂上を見つめている。 抱きしめて、押さえ込むように郁の頭を撫でると、郁の身体から力が抜けてそのまま堂上に縋り付いた。 さっきの蕩けたような視線の意味が間違いはなかったと感じると共に、逸る気分に囚われる。郁からの誘いは初めてだった。 いつもはこちらからリードするが、どうする?郁に任せてみるか?郁の頭を撫でながら考えていたら、 おずおずとためらいながら郁が動いた。軽く触れるだけのキスを一つ。それから郁はじっと堂上を見つめた。 この先は堂上に任せると言うことだろうか。だが折角の誘いなら、素直に乗るよりは少し焦らしてみたい。 あえて軽いキスを返すと、郁は高まり始めた身体中の熱から逃れるように艶めいた息を吐いた。 互いの視線を結んだまま唇を軽く噛んでやると、郁の口から思いがけないほど色っぽい喘ぎ声が漏れる。 くそ、処女のくせにエロい声出しやがって。 焦らしたつもりが煽られただけだ。堪えきれず噛み付くように口付けて、舌を絡み合わせた。 キスの心地よさを教えたのは自分だが、数を重ねるごとに郁の反応は良くなっていた。 セックスはまだしていない。だからなのか、繰り返すごとにキスは深くなっていき、いつの間にか情事の様相だ。 キスがセックスの代償行為になっているのかもしれない。だが郁はそれに気がついていない。 セックスについては間違いなく「はじめて」であろう郁に対して事を急きたくなかったが、 キスがセックスの代償行為になっている現状、いくら朴念仁と皮肉られているとはいえ毎度こんな声を聞かせれては堪らない。 熱に浮かされたような視線の郁に、堂上は試されているような気分だ。気を抜けば郁に襲い掛かるかもしれない。 何か別のことをと思いつき、そうだ、と目の端に映ったものに意識を集中する。郁の頬に張り付いていた横髪。 少し邪魔そうだなと考えて、掻きあげて郁の耳にかけるように梳いた。が、その指の動きに反応するように郁の身体がビクっと震えた。 「んっ…ぁ」 堪え損ねた甘い声がはっきりと堂上の耳に届く。おい、待て笠原。マズイぞそれは。 わざわざ苗字呼びしたのは今にも消し飛んでしまいそうな自制心だったが、もう手遅れだ。 その証拠に待て待てと焦り始めた頭の片隅で、耳の裏が弱点なのかとしっかり記憶した自分がいる。 密着していた身体を慌ててずらす。堂上自身に起こりつつある身体の変化がばれたら流石に気まずい。色んな意味で。 左手を郁の頭に添えたまま、右手の指先で首筋をそっと撫でる。 触れている事を意識させないように、耳の裏に触れるタイミングで煽るように舌を絡ませた。 生暖かくざらっとした感触に弱い部分に触れられた刺激が重なって、郁の身体が弓なりに反った。 腰が引けた郁を逃がさぬように身体を支え、そのまま郁の背中のラインを確かめるようになぞると 堪りかねた郁が必死に声をかみ殺して熱い息を吐いた。 目尻に浮かんだ涙に僅かな罪悪感が芽生えたが、そのまま気付かない振りをした。 大事にしたい女のはずなのに、このままでは傷付けてでもその先まで求めてしまいそうだった。 もう自分では崩れた自制心を立て直すことが出来ない。郁がNOと言ってくれなければもう止められない。 大事にしたいのと同じくらい、確実に楔を打ち込んで逃げられないようにしたいとも思う。 好きな女とイチャついて何が悪い。恋人同士がやることやって何か問題でもあるのか。ずっとしたかったんだ、悪いか! ついに観念した堂上は郁の首筋に軽く歯を立て、郁が息を飲んだ瞬間にデニムのタイトスカートの裾から手を滑り込ませた。 起こったことに気がついているのか、それともまだキスの余韻の中なのか。 引き締まった太腿から内側に指を滑らせると、教官、と震える声で堂上を求め、郁は堂上の肩にしがみついた。 怯えてくれれば踏みとどまる事も出来たかもしれないが、これではまるで同意のサインだ。 太腿の内側に手を這わせ、熱を帯びた部分に触れぬように臀部まで撫で上げると、郁は喘ぎ声を必死に抑えながら更に強くしがみついた。 行き場のない熱をやり過ごす事も難しいのか、無意識に足をすり合わせて身動ぎする。触れなくてもそこが潤んでいる事くらい判る。 俺だけがこの先を求めている訳じゃないと思って良いんだな?声に出して訊ねる代わりに、堂上は郁の瞳を覗き込んだ。 それは二人の視線が絡み合った瞬間とほぼ同時に起こった。 暗闇の中、二人のいる場所からおよそ数十メートル先でがさりと木擦れの音がした。 即座に甘い余韻は掻き消え、堂上と郁は抱き合った姿勢のまま音も立てず植え込みの影に身を潜めた。 しばらくして腹立たしいほど呑気な鼻歌が耳に届き、二人の頭上を懐中電灯の灯りがかすめた。 灯りは影に潜んだ二人を捕らえる事無く、さっきまで二人が濃厚なキスを交わしていた空間を照らしだす。守衛の見回りだ。 守衛は植え込みを全く気にする様子もなく、やがて呑気な鼻歌は遠くへと消えた。 いくら二人が特殊部隊隊員とはいえ、あの程度の見回りでは侵入者が潜んでいたとしても全く気付かないかもしれない。 アイツ、減俸ものだな。いや、この場合はいちおう感謝しておくべきか。 守衛の気配が完全に消えたところで、堂上は大きなため息をつき、 それを合図に堂上に庇われるように身を縮ませていた郁の身体からふぅと力が抜けた。 「ドキドキしたー。今のちょっと危なかったですね」 先ほどのキスの余韻をまるで匂わせないサバサバとした郁の物言いが微妙に引っかかった。 「何の…」 「さっきの守衛さんですよ。でもあの人、ちょっと警備姿勢に問題ありますよね。まぁ見つからなくって良かったかな。えへ」 堂上の背中に冷たい汗が湧く。まさか――、まさかとは思うが、まさか…というか、やっぱりそうなのか?! 居た堪れない、男として居た堪れない。罪悪感と戦いながら、半ば腹を括って「そのつもり」で触れたっていうのに、 郁から見ればただ単純に「キス+α」で、それ以上については考えが及んでいなかったらしい。 「えへ」って何だー!散々良い声で鳴いて、煽るだけ煽った挙句それか?! 男心を弄りやがって!返せ、俺の葛藤を返せ!利子つけて返せ! と、さすがに声に出しては言わなかったが、脱力した堂上ががっくりと膝を付いたことは言うまでもない。 いや、こんなところでおっ始めるわけにもいかなかったから、待ったがかかって良かったと言えば良かったんだが。だが、なんだ。 気持ちは海底二万マイルに到達した堂上を尻目に、郁は立ち上がって堂上に笑いかけてきた。 「もうそろそろ門限ですよね。あ、やっばい!お風呂終わっちゃう!」 心なしか不自然なほど陽気に振舞う郁に対し、堂上は完全な仏頂面だ。 それにしたってホントに気付いてないのか?それはいくらなんでも無神経すぎやしないか? 気恥ずかしさと理不尽な憤りで行き場のなくなった感情の矛先は当然のように郁に向けられる。 堂上は無言で立ち上がり、そのまま郁に軽くゲンコツを食らわした。軽くのつもりだったが、ごちんと良い音が響いた。 「ぃったっ!何で?!今絶対殴るトコじゃないし!!折角ラブラブな雰囲気だったのに!」 「どこがどうラブラブだ!少しは俺の苦労も判れ!」 「え?あたし、なんかやらかしました?」 「もういい!うるさい黙れ喋るな!」 はっきりとしたのは、自分がした行為を激しく後悔したという事だ。笑顔の郁に罪悪感が胸を刺す。 もし仮に郁が行為に怯んで嘘をついたんだとしても、そうさせたのは独占欲で事を急いた自分に非があるような気がした。 どちらにしろもう迂闊に手は出せない。堂上は玄関で郁と別れて部屋に戻ると、柄にもなくへこんだ。 玄関で堂上と別れた郁は部屋へと向かう廊下を一人で歩いていた。 廊下はいつもよりも静まり返っているように感じられて、すれ違う人もいなかった。 静か過ぎて自分の心臓の音まではっきりと耳に届くようだ。 どくん、どくん、と少しずつ早まる鼓動に合わせて郁の歩みも少しずつ速まり、気付いた時には駆け出していた。 逸る気持ちに焦りながら部屋に駆け込むと、柴崎はお風呂にでも行っているのか部屋にいなかった。 後ろ手に閉めたドアにもたれかかり、そのままずるずるとへたり込んだ。頬も耳も、全身が熱くほてっている。 「あ…っぶなかったぁ…」 今日の「散歩」のおねだりは、郁にしては勇気を振り絞ったほうだ。 いつも寮の前までくると堂上はあっさりと手を離すから、それが悔しくて寂しくて、わがままを言った。 それに寮の中では恋人扱いしてもらえない。だから戻る前にどうしても甘い空気に浸りたくなった。 もっともっとと求めるうちに、まさかあそこまで濃密な空気になってしまうとは思わなかったが。 全身に堂上の指が辿った感触が郁の身体にリアルに残っていた。優しくて熱い。 堂上が触れた場所はくすぐったくて、それなのにすごく気持ちが良くて、そこに溺れそうになる自分が恥ずかしかった。 堂上の手が太腿に触れた瞬間下腹部が急に熱くなって、身体の奥からほんの少しだけ郁自身の熱が滲んだ。 それがなんだか判らないとカマトトぶる気は毛頭ないが、少し触れられただけだというのに、これは恥ずかしい。 元々堂上はスキンシップが多いほうだが、キスをする時に(それがどれほど激しかったとしても)触れてくる事は無かったから、 たまにはお触りされながらとかもありかなーとドキドキしながら考えた事は確かにあったけれど、現実は乙女回路を遙かに越えた。 あの時、熱を堪え切れなかった自分に堂上は気付いただろうか?もっと触って欲しいって言ったら幻滅された? 守衛の見回りで行為が中断された時、気持ち良くなっていた自分が急に恥ずかしくなって、その先を考えたら少し怖くもなって、 ベタ甘な空気を断ち切るように明るく振舞って誤魔化そうとしたけど、もしかしたらかなりわざとらしかったかもしれない。 ていうか、柴崎に借りた小説のみたいなあんな事やこんな事を想像してドキドキしたのはあたしだけで、 堂上教官はなんとも思ってなかったりして。あり得る、そのパターンはあるかも!支えようとして偶然触っちゃっただけとかで。 こっちが大騒ぎしてるのに、堂上教官に素で「何かあったのか?」とか言われたらへこむ。マジでかなりへこむ。 一人で空回りとかすっごい恥ずかしいんですけど!それよりも明日どんな顔して堂上教官と会えば良いの?! 柴崎が戻ってきたら相談…とか、そんな自分からネタ晒すようなマネできるかーっ! 真っ赤になった頬を膝にこすり付け、郁は空転する思考を抱えるようにうずくまった。 それから数週間後のバレンタイン、更に堂上をへこませる出来事が起こるのだが、それはまた別の話だ。
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1スレ目 257 「堂上」 「……」 「おい、堂上!」 「教官ー、呼んでますよー」 「何言ってんだ、呼ばれてるのはおまえだろ」 「堂上『士長』!」 「ほれ」 「えっ!?教官いつの間にか士長に降格しちゃったんですか?」 「アホか貴様。苗字変わったんだからおまえだって堂上だろう」 「……」 「……頼むから職場では旧姓のままで通してくれ」 「えーでもそれじゃ結婚したって感じがしなくて寂しいじゃないですか」 「苗字呼ばれて華麗にスルーするおまえがどの面下げてものを言う」
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堂上 剛裕 ( どのうえ・たけひろ )
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1スレ目 101-104 おねがい(堂上×笠原) 一戦終わって、隣でくったりと身体を横たえていたる恋人の頭をゆっくり撫でていると、 恋人―笠原郁は突然がばっと上体を起こした。 「教官!!あの、教官の…、その、アレを口でしてもいいですか?」 「…はあ?急になにを言ってるんだ。おまえは」 「だって、いっっつも教官にイロイロされるばかりで、負けっぱなしで悔しいんですっ!」 「バカか貴様。勝ち負けじゃないだろう、そんなこと」 「わかった、負けるのが悔しいんですね?」 「はあ?!誰が負けるってんだ!?」 「じゃあ、了承してくれるんですか?」 「っ……歯は立てるなよ。それから無理だと思ったら、すぐにやめていいからな」 「はいっ」 …ん…チュ…んん…ぁん……んぁ…ん……… 「もう、いいぞ…」 「んん…んぁ、え?」 問うように見上げる瞳が濡れていて、色っぽい。この表情は初めてだ。 「もうやめていい」 そう言うと表情が変わった。 ―逃げるんですか? そう、目が語っている。口も手も動きを止めないのは、続行の意思を示している。 初めてで口で受け止めるのはかわいそうだろうと助け舟を出したのに、 余計に頑なにさせてしまった。 ―仕方ないか…言っても聞かないだろうしな 動く頭に片手を伸ばし、髪に指を絡める。 「…んう」 笠原は苦い表情をして、口の中にたまったモノを飲み込んだ。 「馬鹿っ!!飲まなくていいんだっ」 といってティッシュを大量に手渡したが、遅かったようでそれで口を押さえている。 「でも、飲み込んだほうが男の人はうれしいんですよね?」 ―そんないらん知識をどこで覚えた!? 「…少なくとも俺は、おまえに無理はさせたくないし、つらそうな顔は見たくない。不味いだろ?」 「うーん、美味しくは…ないですね」 「口、ゆすいでこい」 こくんとうなずいて、手近にあったシャツを羽織ると笠原は洗面所に向かった。 ―やっぱり、俺が一から教えてやればよかったな… 懸命に尽くしてくれようとする姿は愛しい反面、なにもそんなにあわてて覚えなくても、とも思う。 これまでに不満があったどころか十分満足しているし、少しずつ受け入れてくれるのがうれしかった。 ―ゆっくり教え込みたいところだが…どう教えたもんだか 洗面所から戻ってきた笠原はシャツを羽織ったまま、ベットにあがってきた。 「大丈夫か?」 「はい、もう大丈夫です。ね、教官?気持ちよかったですか?」 「………ああ」 「よかったぁ、喜んでもらえて」 会心の笑みを浮かべる笠原の頭をくしゃりと撫でた。 「まあ、技術的には及第点ってとこだがな」 「えぇぇっ、合格じゃないんですか?」 「まだまだ、だ」 ―その初々しいところがかえってよかった、なんて言ってやるものか 「んー、でも出たからあたしの勝ちですよね?」 堂上教官は、なんだか人の悪い笑みを浮かべてこう言った。 「笠原、1ゲーム取ったからといって試合に勝ったというわけではないだろう?」 「え、1ゲームって…」 「まあ、仮にも教官と呼ばれている俺が、負けたままで終わるわけにはいかんしなぁ?」 「なにそれ、ちょっ、んんっ…」 深く深く、ねちっこく口付けされながらあたしは負けず嫌いの教官に押し倒されてしまった。 ―もう、この、クソ教官っ!! ―――ほんと、しかたのない人だなぁ 思わず顔が笑ってしまった。
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若手が集う独身寮、昇竜館の館長。父上。投手として14年間で35勝をあげた元ドラゴンズ投手。 長男・剛裕、次男・直倫は共にドラゴンズの現役選手。この兄弟は生まれてから今日まで球団から合法的に栄養費を受け取っていたことになる。父は投手であったが、1試合4安打をしたり通算4本塁打という成績を残してるあたり血は争えない。 morisigeを凌ぐインパクトフェイスを持ち、鬼の寮監にふさわしい出で立ちである。父上の写真にはハズレなしと言われる。ちなみに息子二人は母似である。 大本営に「堂上照 昇竜館日記」を連載している。恐ろしげな見た目に似合わず、若手選手たちを応援し、鼓舞し、心配する、正に父目線が魅力。メロメロになるファンも多いことだろう。
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1スレ目 396-399 海辺の出来事 「たまには、遠出するぞ!」 玄田の一言で海に出かけた、堂上班プラス玄田・柴崎・毬江・折口の8人。 折口の手配で世相社の保養所がある海岸にやってきた。 男女それぞれに別れて水着に着替えてビーチに集合することになった。 「お前、寮にいるときの格好とあんまり変わらないんじゃないか?」 「違いますよ!これはタンキニっていう水着なんです!これだと胸の小さいのをあんまり気にしなくっていいかな……ってなんでこんな言い訳」 「下も短パンか、てっきり柴崎みたいな水着かと思ってたんだがな」 「ああっ、他の女の人見ながらそんなこと、ひっどーい!」 堂上の視線の先には波打ち際を歩く柴崎と手塚の姿があった。 郁としては柴崎と比べられては立つ瀬が全く無い。 なんとか反撃をと考えてふと気づく。 「ん? なんで教官、着替えてないんですか?……もしかして、教官泳げないんじゃ」 堂上はここにくるまでに着てきた普通のTシャツに綿のパンツだった。 「こ、これはだな……みんな水着に着替えてたら、良化特務機関の襲撃に備えられないからだ……」 「こんな場所のどこに狩られる本があるんですかっ!?」 「いや、でも、もしもを考えて」 珍しく、しどろもどろになった堂上に郁はニンマリと笑いかけた。 「石頭でカナヅチって、なんかのギャグみたいですよ」 「あんたって、無意味なとこに自信あんのね」 手塚が身につけているのは、男性用のビキニパンツ。 ○島よしお御用達の品物だ。 「これはっ、学生時代ずっと競泳部だったからっ!小牧二正みたいな短パンだと、なんか足にからまって泳ぎにくいから……あれ、毬江ちゃんは?一緒に着替えに行ったんだろ?」 保養所が用意してあるパラソルの下で手持ち無沙汰に毬江を待っている小牧の姿があった。 柴崎は、ああとうなずくと、 「やっぱり、ほら寮で一緒のあたしや笠原だったら遠慮ないんだけど、一緒に着替えるのってちょっと恥ずかしかったんじゃないかしら、後でくるって」 「そういうお前は自信満々すぎじゃないか」 華奢だ華奢だと思ってたのに、胸はC……いや、ひょっとしてDぐらい? 手塚の視線が自分の胸に刺さっているのを自覚してか、柴崎は黒のビキニに包まれた胸をグイっとはった。 「このあたしに自信があったら、おかしい?」 世の男性陣なら恐らく全員が陥落されただろう圧倒的なオーラを柴崎は纏っていた。 「ま、でもこんな姿を拝ませるてあげるのも、ごく限られた人だけよ」 「俺も『限られた人』なんだな」 「まあね」 ふわりと微笑んだ柴崎に、どうしようもなく頬がゆるむ手塚であった。 「きゃーーっ!」 郁は逃げ出した。 なんとか第一波をしのいだものの、柴崎もドン引きになっている。 「隊長っ!なんですか?!それはっ!」 堂上班の男性陣3人は一斉に怒鳴った。 「日本男子なら、やっぱりこれだろ!」 手塚よりも柴崎よりも、誰よりも自信万満に、真っ白のフンドシ姿の玄田は豪快に笑っている。 深紅の胸元が深く切れ込んだワンピースの水着を身に付けた折口が玄田に寄り添って、 「ほらぁ、みんなびっくりするって言ったのに」 平然と玄田の腕をつついていた。 並んで水際に向かう二人が通り過ぎてから、一同はそれぞれがひそひそとつぶやく。 「何かやらかす人だとは常から思ってたが」 「折口さんも凄いっすね。アレと平然と並んで歩けるんだ」 「やっぱり20年以上の付き合いだけのことはあるよね」 「それにしても、折口さんには負けたかも。あの年であの水着を着こなせるなんて」 「『あの年』ってお前、聞こえたら殺されるぞ。それにスタイルだったらお前の方が」 「あらーっ、あたしなんかで鼻の下伸ばしたりしてていいんですかぁ?笠原に言っちゃおっかな」 「バカっ!客観的な意見だ!」 「玄田隊長と同い年だから、もう40過ぎててあの体型を保ってるのが凄いってことだね」 「そうそう、いくらあたしでも40過ぎであれが着られる体型でいられるか」 つぶやいた柴崎をつい眺めてしまって、男性陣全員がそろって気まずくなり、また全員があらぬ方を向いたのだった。 玄田ショックから立ち直ってしばらくしてから、ようやく毬江が登場した。 「毬江ちゃん、その水着は……」 「小牧さん、こーゆーのがいいかなって思って」 毬江が用意してきたのは、高校生のときに使っていたスクール水着だった…… ご丁寧に胸元には『3-B 中澤』と名札までついている。 「それが趣味じゃ、男性陣で一人だけまともな水着着てる俺が一番変態になるでしょ。着替えてきて」 「はーい」 駆け出した毬江の後ろ姿を見送りながら、小牧は自分の趣味を誤解されるポイントがなかったのか、真剣に悩んだのであった。
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2スレ目 95-96 「笠原ぁああ! 諦めろ!!」 「いっ…やですぅうう…!!」 かれこれ二、三分は続いていようか、この攻防戦。本来ならすぐに止められるであろう状況下で「待った」の声が出ないのはひとえに本人達の希望からだった。 「何よこの公開プレイは」 隣で呆れ口調に呟いた柴崎に手塚も深く頷く。 もうこの情報の女神に微笑まれたどころか女神そのもののような女に情報の出所を聞くだけ無駄だ。せめてちょっとした嫌味を込めて「仕事は?」と聞くと「休憩よ」と反撃のしようもない完璧な答が返ってきた。よせばいいのに聞いてしまった数秒前の自分を殴りたくなった。 「ねぇ、聞いてるんだけど?」 驚いて真横を見下ろす、腕を組んだ姿がまた様になっている柴崎が憮然と手塚を見上げていた。 「…お前のことだからそこまで掴んでるのかと思った」 「私のことそこまで評価してくださるなんて光栄ですわ」 先ほどとはうって変わっての全開営業スマイルに手塚は怯んだ。他とは違う反応に「何を見る目よそれは」とますます膨れる柴崎にうっかり”女神”と答えそうになって手塚は慌てて口を閉じる。 「で? どういうことなのこれ」 「堂上教官と笠原の一騎打ちだ」 「柔道ってそもそも一対一でするもんでしょうが」 それもそうだな、と手塚は素直に頷いた。 「私もルールとか良く知ってるわけじゃないけど、普通こういう風になって完全に決まらなかったら何秒かとかで一旦離れるもんじゃないの?」 「普通はそうだ。だが途中から二人とも意地になりだしてな」 「あぁー、すごく想像できるそれ」 「堂上教官はたっぱでは負けてても力と重さと経験があるからな、それに対して笠原も持ち前の野生の勘と瞬発力で良く逃げてた。逃げながら機会を伺って堂上教官の力が抜けた瞬間を狙って鋭く切り込んでいったり」 「やるじゃない笠原」 堂上と郁が青さが目に眩しい畳の上で重なりあって鼻息荒く蠢く中、二人は彼らとは別の次元のゆったりとした時間の中を生きるように優雅に会話していた。 「んで、どっちが先にキレたの?」 話が早くて助かる、手塚の少し笑った目がそう伝えてきたのが分かる。 「さぁな。気付いたらあの体勢で」 手塚が視線で指した先には押さえ込みで郁の上半身をがっちりホールドする堂上、そして最後の綱である堂上の足を離すまいと足を交差させて耐える郁の姿。 「小牧教官が待てを入れようとした瞬間二人同時に”待った無し!!”って怒号が飛んできた」 「くっ…ふふ…」 熱気のこもる場内に柴崎の笑い声が涼を差す。突然の柴崎の乱入に俄か浮き立つ場内を見て頃合いと思ったのか、小牧が一応は困った風を装って道場の帯を引っ張る。 「ほら、教官殿が意地になってどうするの」 笠原さんも、と小牧が畳み掛けると二人は同時に息を深くついた。堂上が腕を伸ばし、郁が足から力を抜く。ぐったりと畳に肢体を投げ出した郁の頬に何かがぽつりと落ちる。 ゆっくりと目蓋を開けるとまず最初に暗い、と思った。しっかり目を開いて理由が知れた。 「はぁっ……はぁ…はぁ…っ」 自分と同じく荒く息をついた堂上の顔が、思ったよりもずっとすぐ側にある。紅潮した頬と言わず顔全体、恐らくひいては全身。しとどに汗に濡れた額から垂れた汗が自分の、同様に汗に濡れた肌に落ちる。 鈍さに定評のある郁が堂上よりも先にその光景が何を彷彿とさせるか気付いたのは奇跡に近い。 「悪い…やりすぎた」 堂上は珍しく素直に謝ったがもう郁には聞こえていなかった。 「キャ―――ッ!!!」 さしもの鬼教官も慄くほどの叫喚を間近で喰らい、 「ふぐっ…!!」 あまつ声を抑えるのも忘れるほどの衝撃が下腹部を襲う。がくりと片肘をついた堂上の腕の中から転げ出すように逃げ去った郁は一目散に武道場を飛び出しいずこかへ消えた。柴崎が察するに外の水飲み場へ向かったのだろう。 「キャッ…」 「うわっ」 久しぶりに柴崎の口から女の子らしい声を聞いたかと思えば、次の瞬間手塚は思い切り柔道着の裾を引っ張られていた。いじらしい声に続くのは「いや」なんて可愛らしい反応ではなく一生懸命押し殺しているらしい笑い声。 「おい…!」 「だめ、我慢できない…ふふっ! …ちょっと顔隠させて…!」 私のキャラじゃないから。そう言いながらまるで恥ずかしくて堂上の姿を直視できないよう繕って手塚の腕をぎゅっと抱き締め、肩甲骨に顔を埋める柴崎に手塚は動揺する。 「あーはっはっはっ…大丈夫堂上?」 「……っ…」 小牧は目に涙を浮かべながら肘をついて崩れ落ちた堂上の腰を叩いている、何かを落とそうとするように。その間抜けな光景を誰もが指指して笑った。その一角でまた別の二人組が淡い桃色の雰囲気をかもし出しているのにも気付かず。 「…おい、柴崎」 「…待って、あと少し……あと少し経ったら笠原に…どこっ…蹴り上げたか説明しがてら慰めにいくから…っ」 説明しがてら…説明するのが優先か。大事な人の大事な所を蹴り上げてしまった郁の反応を見て更に笑うつもりなのだろう。 「だから、あと少し」 肩の震えを抑え、手塚の肩に頬を摺り寄せてそう呟く柴崎に、手塚は無理やり引き剥がす理由をなくしてしまった。 「あと少しだぞ」 「うん、あと少し」 END.